僕たちはガンダムのジムである

常見陽平さんの上記タイトルの著作を読んだ。世の中の大半の人間は機動戦士ガンダムでいうジムであり、特段の才能もない極々平凡な存在であるとのこと。正論である。

私が感銘を受けたのは以下のところ。「ジムに絶望しないでほしい。世の中は、働く人の1%もいないであろうガンダムのような人ではなく、残り99%のジムのような普通の人で動いている。いくら名経営者がいたところで、ジムがいなければ世の中は動かない。」

ジムの端くれとして、その通りと言いたい。

自分らしさを追い求めるよう煽られがちだが、所詮は代替可能性のある平凡な労働力に過ぎない。

とはいえ、このような自覚を持つに至ったのは最近のことで、やはりそれなりに働いて世の中のことを多少なりとも知らなければ分からないし、早いうちから分かる必要もないと思う。なので、学卒の若年者が始めからジムを自覚して世の中に出るよう勧めることはできない。やっぱり若気の至りも必要で、俺が世の中変えてやるというガンダム的発想を持って社会に出ることは必要だと思うし、それくらいの夢や希望を持たせてあげたいと思う。

著者だって若いときは調子に乗っていたと言っている。やはり調子になれるのは若いときだけなんだから、それくらいの威勢はむしろ好ましいのではないか。

それを考えると、この本は何となく自分の力の限界を感じ始める30代以降の人が読むべきなのではないか。